公文式読解法
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2023.4.29


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『にほんご』特集
吉田中学校勤務時代
(昭和63年4月〜平成4年3月)
国語通信として
生徒対象に機関紙『にほんご』発行していました。
今回は、その中から
「公文式読解法」を取り上げます。


公文式国語学習法


 「公文式国語学習法」では、子ども達は「要約作業」を通して、詳説に限らず、随筆・説明文・論説文などの文章を次々に読み込んでいきます。真剣に「文章を読む体験」を重ねていきます。そういう積み重ねの中から、自然に「言葉の世界」を広げていきます。

 そして、こういう「国語の授業」を通して、次のようなことに気が付きました。


 言葉の数(語彙)を広げていくと、子どもの情緒が安定する。言語力が発達すると子どもは心が安定し、日常の立ち居振る舞いに落ち着きが出る。このことは、特に幼児や障害を抱えた子どもの場合に、特に顕著であることも分かりました。

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 以上は『公文式国語の提言』から、エキスの部分を取り出し要約しました。国語の読解力を伸ばすためには、まずは漢字の読み書きがそのベースとして必要不可欠です。

 併せて、さまざまな種類の文章を読む体験を重ねることが大事です。なかでも文章要約作業は、読解力をごっそり引き上げます。一番遠回りのようで、実は一番近道の読解力養成方法が「要約」なのです。

 そして、こういう学習の積み重ねが「語彙」を増やすとともに「言語力」を伸ばしていきます。それと比例するように、人間として重要な「情緒が安定」してくるのです。

 国語の授業においては、「文章を図式化」する方法によって要約の力をつけてきています。引き続き、ベストを尽くして文章に立ち向かっていきましょう 。

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まとめ読み


 文章を読みながら、同時に全文暗誦出来るようなスーパーマンはいません。しかし、読んでも(読み終えた)内容が頭の中に何も残っていないのでは、「読んだ」ことにはなりません。

 読み終えた文章の内容の「重要な事柄」をきちんと頭の中に残さなくては、「読んだ」とは言えません。その有力な方法が「キーワードを押さえる」方法です。キーワードとは、筆者が特に力を入れて書いている語句のことです。言い換えれば、その語句を脳裏に残しておれば、読み終えた内容を思い出せるという語句でもあります。

 「文章を読むことは、頭の中に絵を描くことだ。」と言った国語学者がいます。キーワードをしっかり押さえながら読むことは、確かに重要です。しかし、実はそれだけでは不十分なのです。

 それぞれのキーワードが、話(文章)のなかでどう位置づけられているのか? 読み進めながら、次々と整理しなくてはいけません。それがスッキリと一枚の絵になっているとき、はじめて「文章を理解出来た」と言えるのです。そういう「絵」のことを授業では「図式」と呼んで、みんなにも描いてもらっているところです。

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蛇足



吉田中学校
川柳作品


もう少し待ってくださいテスト様
テスト終え母の顔が目に浮かぶ
「今度こそ」テストが帰ったときにだけ
朝礼は話が長くて大あくび
晴れた日は安全タスキ何になる
誕生日誰もくれないプレゼント
お金では夢は買えないこの世かな
朝起きて鏡を見ればまたニキビ
天高く私肥ゆる秋になる
「ハイ、カット!」秋も本番赤とんぼ。

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短詩作品



静かだ
昼間笑っていたモノたちも
今はもう眠っている

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君の瞳


君の瞳に
未来がいっぱい

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出会い

あの日
あのとき
あの場所で
あなたに会わなかったら
私たちはいつもでも
見知らぬ二人

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屋根の上で
水色ダンス
今日の雨

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あまのじゃく

すがりたいのに
すがれない
立ちっぱなしの
私の心

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電話

待って待って
待ちくたびれて
聞こえてくるのは
私の鼓動

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参加することに意義がある
結果はどうあれ
参加することに
意義がある

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空っぽの箱

君のことをずっと
ずっと待っていた
帰ってくると信じて
ずっと待っていた
あの日から僕の心は
空っぽの箱

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バッタ

ピンと飛び出すバッタ
草の色したバッタ
草の色から
ピンと飛び出すバッタ

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寒い冬

ケモノのような

木々が寒さで
泣いている

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