2023.4.15

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パソコンのホルダを整理していると
数年前
教育委員会教育委員長として
町議会本会議で答弁した文章が目に留まりました。
今でもずっと私の念頭にある
課題の一つであり続けています。
議員からの質問は
学力テストは廃止すべきだ。
という内容でした。
(1)学力テストは
子ども達を苦しめているのではないか?
確かに学力テスト(全国学力・学習状況調査)は、子ども達を苦しめているという側面は、大なり小なりあると思います。
ただ、子ども達は中学校、高校、社会人と成長していく過程で、さまざまなテストや試験というハードルが待ち受けています。この試練を受け止め、闘い、乗り越えていかなくてはいけません。そういう意味で学力テストは、小学生時代からテストに立ち向かう姿勢を培い、乗り越えていく体験を少しずつ積み重ねていくという一面もあると認識しております。
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(2)全国学力テストは
学校を序列化しているのではないか?
全国学力テストが学校の序列化を生み出しているというご指摘ですが、残念ながらそういう現状が見受けられます。学力テストが終わると、都道府県別の結果が公表されます。マスコミはこれを大々的に取り上げて、コメントを発表しています。
また、地域によっては学校別に結果を公表しています。これによって、本来あるべき「学力テスト」の趣旨(各学校・児童生徒一人一人の学力状況を把握し、今後の指導に生かす)から外れる状況が生じているとも言えます。議員が指摘しておられる「学校の序列化」という状況が生じています。
なお、飯南町においては学校別の成績を公表しておりません。今後も公表するつもりはございません。
実際に各学校では、「4校の内一番成績がいい学校になる」などという意識で学力テストは実施しておりません。目の前にいる子ども達の成績を何とかして伸ばしてやりたい、そのために「より客観的な学力状況」を把握したいという思いで、学力テストを実施しております。
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(3)軽視出来ない
全国学力テスト
事前のリハーサルテスト
全国学力テストを実施する直前に、過去問題で事前テストをしている学校があるという実態は、マスコミでも報道されています。過去問題をやることによってテストへの対応力が上がり、このことによって「実際の学力より点数が高く出る」という側面があることは否めません。
飯南町内では2校、事前に過去問題を行ったという報告を受けております。ただ、先ほどの学校のように「点数をかさ上げするため」に実施したものではありません。なにぶん田舎の学校です。限られた時間で分厚い問題を解く経験を積んでおりません。問題用紙と解答用紙が異なっているというテストにも慣れておりません。
本番の学力テストにおいて、この問題の姿を見て固まってしまうということが懸念されます。実際の学力が正しく判定出来ない事態も生じかねません。そういうことがないよう、一時間だけ行ったということのようですので、ご理解ください。
なお、町内の学校においても一回だけとはいえリハーサルテストを行った学校と行わなかった学校とありました。その辺りは教育委員会で精査し、次回に備えたいと考えております。
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(4)学力テストは廃止すべきだ
議員の質問に対する回答にはならないかも知れませんが、もし全国学力テストが廃止されたら、各学校では以前行われていた、いわゆる「業者テスト」(全国標準学力テスト)が復活すると思われます。
と申しますのは、全国学力テストが行われる前は、特に小規模校においては業者テストを独自に実施しておりました。それはなぜか、……?
例えばS小学校の6年生は2名です。学級担任の先生は日ごろの授業や小テストなどの状況から、児童の学力を状況を把握してはおられます。しかし、より客観的にということになると、なかなか少人数学級では判定が難しいのが実態です。
例えば一つのテストで平均点70点だったとします。しかし、より大勢が同じテストを実施したら平均点が80点かも知れません。逆に50点かも知れません。
また、2年前、1年前と比べて成績が伸びているのか、伸び悩んでいるのか(経年変化)ということについても、自分の学校だけではなかなか客観的に分析することは出来ません。
こういう学校現場の現状から、全国学力テストを廃止したら、各学校では業者テストが復活し、教育委員会では予算を付けるという状況が生じると思われます。
議員の質問に対する直接的な回答にはないっていないと思いますが、答弁は以上でございます。
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全国学力状況調査は
小6と中3です。
実際に各学年(小3〜)に実施しているのは
島根県学力状況調査です。
このことについては
混乱を来してはいけないので
議員から質問があれば
回答しようと思っていました。

以下は事後に記載。
当日は、@全国学力テストと、A島根県学力テストとが混乱する可能性があるので、まずはその説明から入りました。案の定、議員はAの存在をご存じないようでした。
その関連で(4)については、「全国学力テスト」に関して答弁するよう促されました。答弁書は全国・県合わせた内容で記載していたので、上の答弁は封印。次のように答えました。
◎ 全国学力テストは「基礎」と「応用」に分かれている。このうち「応用」は、学校現場でも注目している。これから求められる学力は「知識・理解」に加えて、思考力・判断力・表現力などとされている。しかし、これら「新しい学力観」と呼ばれる学力は、ペーパーテストで測るのが難しいとされている。そういう中にあって、全国学力テスト「応用」はよく練られている。現場でも大いに参考になっている。
◎ ただ、全国学力テストは実施が小6と中3のみ。しかも、算数・数学と国語のみである。また、結果が戻ってくるのが遅い。
◎ その点、島根県学力テストは小学校4教科、中学校5教科実施されている。その上、小学校3年生から中学校2年生まで6学年に渡って実施している。これなら「経年変化」を見ることも出来る。
◎ 一方、全国学力テストは学力状況を把握する趣旨から外れて、地域によっては過熱気味。点数を上げることにあくせくする地域・学校も出るなど、ともすると議員の指摘される「学校の序列化」を生んでいる一面がある。
◎ こういう状況にあるので、全国学力テストが中止になっても、現場が混乱することはない。
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町議会議員の一般質問をもらったとき
翌朝までには答弁書を届けるよう
指示を受けました。
慌てて書いた答弁は
下記の通りです。
その後
答弁を図式化したところ
内容の重複などに気づき
上のような答弁に変更しました。
答弁の趣旨(内容)については
特に変わっているわけではありません。
確かに子ども達にとってテストは、緊張を高めるとともにストレスを感じる出来事だと思います。ただ、日ごろの学習の成果を確かめ、自分を見つめる貴重な機会となります。また、こういう形の試練も長い人生、大事な側面があります。
学力調査を重視している理由は、飯南町の子ども達の学力が伸び悩んでいるという現状があります。学力調査を実施することによって、学力状況を具体的に把握したり分析したりすることが可能になります。どこが強み・弱みなのかを把握出来ます。日ごろの学習の成果(学力の伸び具合)を分析し、その後の指導に生かすことが出来ます。
もちろん、学力調査の結果だけで子ども達の学力状況を把握しているわけではありません。日頃の授業態度、学習習慣など、日ごろの子ども達の学習姿勢を観察したり分析したりしながら、併せて学力向上に生かすよう、今後も重視して参ります。
なお、学校別の成績公表についてですが、飯南町では学校別の結果は公表しておりません。学校間の競争を助長しているという状況にもありません。この点についてはご理解いただきたいと存じます。
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次に、「授業時間を使って学力調査の対策を行っている」ことについてご回答いたします。町内では小学校2校で事前に過去問題を実施したとの報告を受けております。ただ、2校とも点数を上げることを目的としたものではありません。飯南町の児童は、学力調査のスタイルに慣れておりません。学力調査は問題用紙と回答用紙が分かれています。児童が当日、回答を問題用紙に書いてしまったり、実際の学力調査の形式に戸惑ったりする可能性があります。小学校2校においては、一人一人の児童の学力が正しく把握出来るよう、1時間の授業を使って実施したものです。
今後については児童の実態や学校の考えを斟酌しながら、文部科学省の方針の基づき、適切な取組を図ってまいります。
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次に、「全国学力テストは廃止すべき」とのご提言ですが、先ほども申し上げましたように、学力テストは児童生徒の学力の状況を把握し、日ごろの学習の改善に生かすという趣旨から、今後も実施してまいりたいと考えております。
全国学力状況調査・島根県学力状況調査が行われる以前、町内を含め、大半の小学校では「観点別学力到達度診断テスト」(業者作成:全国標準学力テスト)を実施していました。とりわけ小規模校にあっては、より客観的に学力状況を把握するために、多くの学校が参加する学力テスト実施は欠かせません。
また、同一学年及び児童生徒個人の学力の「経年変化」をみるためにも毎年、学力調査を実施する意味は少なくありません。こういう学校の実態から、公の学力調査が廃止されたら、飯南町に限らず各学校においては「業者テスト」が復活すると思われます。今後も学力調査を実施することについて、ご理解のほどお願いいたします。
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