一般的に「国語の力とは?」と尋ねられると、私もその一人ですが、大半の教員が「書く力」「読む力」「話す力」「聞く力」と答えます。これで間違っているとは言えません。現に学習指導要領にそう書いてあります。
しかしながら、「書く力・読む力・話す力・聞く力を貫き通す学力(国語力)とはなんぞや?」と問われると、「はて?」と立ち止まります。
その解答は、福島隆史さんが主張しておられるように、「論理的思考力」です。この「論理的思考力」があいまいだと、書く・読む・話す・聞くすべてがあいまいになります。国語力で鍛えるべきは、「論理的思考力」なのです。
では、この「論理的思考力」をどうやって鍛えるのか?
一つの山に登る際、いろんなルートからアタックすると同じように、様々な方法があります。福島隆史さんは著書の中で、いくつか紹介しておられますが、特に注目すべきは、『「読解問題」は「関係」を問うていると言って差し支えありません。』という箇所です。
これはまさに要約学習で実践している「図式」そのものです。文章を図式化させる学習を通して、「論理的思考力」をごっそり引き上げるという方法です。
実際、私自身がときどき遭遇していることですが、文章内容が理解できていないと「図式」が描けません。逆に言うなら、文章を「図式」に描けたら内容がストンと胸に落ち、「分かった!」と言えるのです。
この本を読んで、思いがけず「要約学習」の根幹とも言える「図式」を学習する意味を再確認することができました。