国語力とは
論理的思考力


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要約学習では
図式力の向上を図っています。
論理的思考力を鍛えていると
言い換えることが出来ます。

2023.1.3


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国語が子どもをダメにする


 先日『国語が子どもをダメにする』(福島隆史;中公新書)を読みました。この本の中で特に注目したのは、「国語力とは『論理的思考力』である」とズバリ指摘した内容です。

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論理的思考力を鍛えるには?


 一般的に「国語の力とは?」と尋ねられると、私もその一人ですが、大半の教員が「書く力」「読む力」「話す力」「聞く力」と答えます。これで間違っているとは言えません。現に学習指導要領にそう書いてあります。

 しかしながら、「書く力・読む力・話す力・聞く力を貫き通す学力(国語力)とはなんぞや?」と問われると、「はて?」と立ち止まります。

 その解答は、福島隆史さんが主張しておられるように、「論理的思考力」です。この「論理的思考力」があいまいだと、書く・読む・話す・聞くすべてがあいまいになります。国語力で鍛えるべきは、「論理的思考力」なのです。

 では、この「論理的思考力」をどうやって鍛えるのか?

 一つの山に登る際、いろんなルートからアタックすると同じように、様々な方法があります。福島隆史さんは著書の中で、いくつか紹介しておられますが、特に注目すべきは、
『「読解問題」は「関係」を問うていると言って差し支えありません。』という箇所です。

 これはまさに要約学習で実践している「図式」そのものです。文章を図式化させる学習を通して、「論理的思考力」をごっそり引き上げるという方法です。

 実際、私自身がときどき遭遇していることですが、文章内容が理解できていないと「図式」が描けません。逆に言うなら、文章を「図式」に描けたら内容がストンと胸に落ち、「分かった!」と言えるのです。

 この本を読んで、思いがけず「要約学習」の根幹とも言える「図式」を学習する意味を再確認することができました。

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蛇足
言語技術を教えよ!


 福島隆史さんは、著書の他の部分で、次のようなことを主張しておられます。参考に列挙します。

 今の国語教育の多くは、内容重視・感性教育(道徳教育)という面が少なからずあります。「ちいちゃんのかげおくり」を読んで紙芝居を作りましょう、劇にしましょうなどの類は、ほとんどお遊びの世界です。感性教育では、国語力は育ちません。

 国語の授業は、教材を題材(材料)にして「内容」を教えるのではありません。教えるべきは「形式」です。言語技術です。

 国語の教科書に掲載されている「内容」を教えても、子ども達は教わったことを次に役立てることができません。その点「形式」(言語技術)を教わったら、今後に役立てることができます。応用が利きます。「形」こそ、個性を伸ばすのです。

 国語の教科書も、感性教育に導いています。「発表しよう」「感想を書こう」「討論しよう」の類がそれに当たります。どんな言語技術を学ぶのかが抜けています。

 
教科書教材は、ただの読み物ではありません。「とにかくバットを振れ!」では指導ではありません。下半身の構え方、バットの振り方を教えないと、効率的な上達につながりません。

 ふと立ち止まって「国語教育」を見つめ直す、よい機会となりました。

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