要約学習
音声言語編

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2020.10.30


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小学校低学年は
ワークシートがありません。
図式を書かせるのは
発達段階的に無理があります。

先日は
久々に小学校低学年
対象の授業でした。
低学年の授業は
授業だけ頑張れば
それでオシマイです。

今回は初めて
低学年を対象にした
要約学習を紹介します。




聞いたことを伝える


 これは以前から、初めて「要約学習」を学ぶ児童・生徒に対して行ってきている学習指導です。導入から、即「文章を図式化する」学習に入ると、抵抗感を感じて意欲を削ぐ危険性があります。経験的に、その傾向を知りました。

 そこで「要約学習」の導入は、音声言語に決めています。2人ペア学習とします。


@ ペアの一人が別室で、指導者の話(鳥が空を飛ぶための体の仕組みは? など)を聞く。
A 教室に戻って、ペアの人に伝える(プレゼンする)。
B 代表者(挙手指名)が、前に出てプレゼンする。

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 低学年にとって、キーワードを掴んだり、図式を書いたりする学習はハードルが高いようです。実際は普遍的にどうかは不明ですが、私は経験的にそのように捕らえています。

 そこで、低学年は一時間の授業を通して、上記の「音声言語」による学習指導の形態を取ります。

  

 先日は2年生の授業を行いました。扱った題材は、次の通りです。


タツノオトシゴ(オスが子どもを産む)
コウモリの秘密(超音波)
鳥が空を飛べる秘密
髪の毛の役割
森の中でクマに遭遇したら?
トイレットペーパーの三角折り
アメンボの秘密(水に浮く)
ハエの秘密(天井に留まる)

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 むろん、授業が活性化するためには、「題材」がポイントになることは言うまでもありません。が、基本的に音声言語の伝え合いは、子ども達も意欲的になります。「音声で伝える」ということ自体が、アクティブで意欲をかき立てるようです。

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要約学習は学力の基盤
学力そのものです


 頭脳を意識すると、次のような手順になります。


@ 聞いたことを理解する。
A 聞いたことを覚える(メモ無しで内容保持)。
B 第三者(ペアの相手)に伝える。

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 考えてみれば日ごろの授業は、(子ども達にとって)聞くことの連続です。脳の働きは、日ごろの「学習の姿」そのものです。@ABの流れが得意な子どもは、学習の成果が上がります。成績も優秀です。不得意な子は学んだことが定着せず、学習も遅れがちになります。

 この一連の学習は、積み重ねれば着実に成果が上がります。

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音声言語から文字言語へ


 音声言語で訓練しておくと、(音声と文字の違いだけで)脳の思考回路は同じです。

 ところが音声言語が文字言語に変わると、子ども達にとっては一気に難度が上がります。極端なことを言うと、音声言語だと保育所の年長児でもクリアーする題材であっても、(同じ内容を)文字言語で提示すると、小学校3年生であっても、一気にハードルが高くなります。

 そこが不思議なことでもあります。いや、人間にとって「文字を手に入れた」歴史の浅さを考慮すると、当然のことかも知れません。

 したがって、音声言語から文字言語への移行については、日ごろからの「読書」(文字文化に親しむ、読字理解についての抵抗感を取り除いておく)が、重要な前提条件となります。

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将来花ひらくことを期待して……


 低学年の「要約学習」については、一題材ごとに代表者(挙手・指名)が前に出てプレゼンをします。

 その際、実物投影機で(指導者作成の)図式を投影します。このことが、3年生に進級したとき取り組む「文章の図式化」の伏線となっています。

 図式という概念を視覚的に学ぶ経験は将来、自力で図式を書くときの重要な伏線となっています。

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