2020.8.23(日)

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島根県学校図書館協議会では
毎年
読書感想文集『あをの』を発行しています。
今年はコロナの関係で発行を見送られたとのこと。
短い夏休み、子ども達の負担を減らす。
ソーシャルディスタンスの関係で審査会が開きにくい。
私は在職中、8年間「会長」を勤めました。
平成12年度〜平成16年度
平成20年度〜平成22年度
その「巻頭言」は会長が受け持っています。
『あをの』55号に掲載した巻頭言を
ふと思い起こしました。
平成21年度『あをの』(第55号)
巻頭言
高次の情緒力

「高次の情緒力」と「論理的思考力」の育成
これは
豊かな人間生活を営む上で
とても大事な側面だと思います。
愛情をかけず
優しい言葉もかけずに
赤ん坊を放っておくと
きっと自己中心的で
動物的な本能のみが
突出すると思われます。
(アマラとカマラの話・ヘレンケラーの話など)
豊かな人間性を育む上からも
読書の重要性を
お互いに認識したいものだと考え
この巻頭言を書きました。
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平成20年度
第54号
母乳語と離乳語
思考力の源泉は言葉です。また、心は言葉によって育まれます。
外山滋比古氏によると、言葉には母乳語と離乳語とがあるそうです。「母乳語」は主として母親がかける言葉で、知らず知らずのうちにもっとも根本の心を育んでいます。血の通った言葉が欠けると、子どもの心は荒れます。豊かな心が育ちません。
一方、「離乳語」は昔話やおとぎ話など、抽象的で超現実的なストーリーによって育まれます。そして、「母乳語の心」と「離乳語の心」 の二つが合わさって、その子の個性(三つ子の魂)が完成するのだそうです。
ところが、現代はテレビの時代です。小さい頃からテレビ漬けになって育ちます。テレビもフィクションの世界ではありますが、映像を伴っているため具体的であるように感じられやすい面があります。テレビで「離乳語」を代用させることは出来ません。
今年度も県内各所において、さまざまな機会を通して「子どもと本とを結ぶ」取組がなされてきました。子どもに読書習慣をつける実践が展開してきました。また、学校図書館の整備にあわせて「調べ学習」の充実が図られてきました。その実撃なご実践に心から敬意を表します。
ところで来年度から、島根県内すべての小・中学校に司書教諭を置くとともに、学校司書等が配置されることになりました。これは5年間の事業ですから、学校は正念場を迎えたことになります。お互いに情報交換しあいながら、それぞれの学校で前向きにで精力的な実践を展開していきましょう。
なお、今年度の読書感想文コンクールにおいて、杉原茉里子さん(乃木小学校4年)が全国コンクール最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞されるなど、3点が入賞しました。心からお祝い申し上げます。
終わりになりましたが、読書感想文・読書感想画・読書ノートの指導、審査などのお世話をいただいた多くの皆様に、心から厚くお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
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外山滋比古さんの著書で
母乳語と離乳後を知りました。
なるほどなぁ〜 と
納得させられ
ぜひ紹介しようと
巻頭言を書きました。
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〔この間3年間は副会長〕
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平成16年度
第50号
畳の上の水練
去年12月7日、経済協力開発機構(OECD)から「学習到達度調査結果」が公表されました。
それによると、日本の高校生の読解力は、前回から大きく落ち込み、40カ国中8位から14位へと大きく後退しました。何とも寂しい結果です。読解力の低下は、思考力の低下を意味しています。ゆゆしき事態です。
これは、学校週五日制などにより「国語」の授業時数が激減したことが一因と思われます。
中央教育審議会国語専門部会の委員、本川達雄(東工大教授)は、「読書量が影響している。最近の子ども達は、話し言葉だらけになってきた。読書量を増やし、書かせる訓練をすべきだ」と分析しておられます。
「畳の上の水練」という言葉があります。いくら畳の上で泳ぎ方を習っても、実際に水の中でどんどん泳がないことには、泳ぎの上達はあり得ません。大事なことは泳ぐ回数です。泳ぐ時間が上達の秘訣です。
これはスポーツに限りません。読み書き能力の底力を付けるには、読んだり書いたりする時間をしっかりと確保しないことには、どうにもなりません。
学校における授業には限界があります。国語の授業で読む文章、読む時間、書く時間は、全生活時間から見たら実に微々たるものです。特に、読んだり書いたりする時間は、意識して確保しないと限りなくゼロに近づきます。
したがって、「読書習慣」があるかどうか、「書くことが日常生活に位置づけられている」かどうか、これは「国語の力」をつける上で重大問題です。
なお、今年度の読書感想文コンクールにおいて、森結衣子さん(高浜小学校四年)が全国コンクール最優秀賞「内閣総理大臣賞」を受賞されました。心温まる心動かされる作品です。県コンクールにおいても、四年連続最優秀賞という快挙を挙げておられます。敬意を表するとともに、心からお祝い申し上げます。
終わりになりましたが、読書感想文・読書感想画・読書ノートの指導、審査、表彰式などのお世話をいただいた多くの皆様に、心から厚くお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
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書き言葉を話せるようにする。
まさに
これがしっかりした人間に成長する
キーワードの一つだと思います。
近年の若者言葉の氾濫に
寂しい気持ちを抱いている人は
少なくないと思います。
チョーきもい
マジィ〜!
あの人ヤバげじゃない?
「ありえねーし!」
「意味ねーし!」
うぜえ・やばい・ヤベえ〜
ビミョー・フツー
**くねぇ〜?
**とかぁ〜
**みたいなぁ〜
オリンピックで服装の乱れが
話題になったこともあります。
若者言葉の乱れと
無関係ではないのではないか?
などと勘ぐるのは
おじさんだからでしょうか?
こんな世の中だからこそ
どっしりと腰を落ち着けて
心を澄ませて
読書に立ち向かう若者が
一人でも多く育ってほしいと
念じて止みません。
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平成15年度
第49号
小学校時代に読書習慣を!
今年度は、出雲市を会場に「中国地区学校図書館研究大会」が開催されました。多くの成果が報告され、また、課題も浮き彫りになりました。学校図書館をめぐって、とても意義深い学習・研究の機会となりました。大会開催に関わって下さった皆様に、改めまして厚く感謝申し上げる次第です。
さて、この文集に収められている読書感想文を読めば、その人が本とどのように向き合ったのか? 自分の生活とどう向き合ったのか? などがよく分かります。児童・生徒の皆さんには、感想文を書くことを通して、一冊の本からより多くのメッセージを受け止められたことでしょう。ものの見方・考え方の幅を広げ、瞳を深くされ、今日からの生活がより豊かになっていったことでしょう。
先日、勤務校に糸賀真由美先生(頓原中)をお招きし、ブックトーク・ストーリーテリングを行いました。その折の先生の言葉です。
「小学4年生までに、生涯の読書習慣の基礎が固まってしまいます。この時期の読書が、中学生以後の論理的思考力などに大きな影響力を与えます。『小学生の時期』は、読書習慣を付ける意味で重要です」。
同じく、さし絵画家の高田勲先生(本校卒業生)が来校され、親子切り絵教室がありました。その折の先生の言葉です。
「昔から学問の基礎は、『読み・書き・そろばん』です。知識を得たり、正しい判断力を養ったりする、その基盤は小学校時代の『読書』が大きく関わっています。ぜひ小学校時代にどんどん本を読む習慣を身に付けてやって下さい」。
家庭で毎日一時間テレビを観ることは、何の苦労も要りません。一方、家庭で毎日一時間読書をすることは、強い意志が必要です。はるかに価値ある一時間です。子ども達には、ぜひ日ごろの生活に「読書の習慣」を加えてやりたいものです。そのための労力なら、どんなことでもいとわない。そういう強い意志と熱意で子ども達に関わっていきましょう。
なお、「島根県学校図書館協議会」では、ホームページを開設しております。学校図書館をめぐる最新情報、読書・読書感想文に関する情報など、16部屋を設けて情報を提供しております。指導の参考にしていただければ幸甚に存じます。
終わりになりましたが、読書感想文・読書感想画・読書ノートの指導、審査、表彰式などのお世話をいただいた多くの皆様に、心から厚くお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
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現役時代
勤務校の生徒に
学期末ごとに
生活アンケートをとっていました。
そこで気になることの一つが
テレビ視聴の時間です。
個人差が激しいのですが
多い子は平日で4時間以上です。
親子関係はどうなっているのでしょうか?
きっと完全なる放任か
保護者も読書よりか
テレビ中心の生活なのかも知れません。
この5分の1でもいいから
読書の時間を設けてくれたら……
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平成14年度
第48号
「考える読書」の勧め
読書は、さまざまな知識を提供してくれます。
読書は考える力を培い、豊かな表現力を育成し、温かい心を養います。読書が人間形成に果たしている役目は計り知れません。
先日、大学入試の「小論文指導」まっさいちゅうの高校の先生から、次のようなメールをいただきました。
自分の体験を自由な文体で、自由にのびやかに書くことに関しては、若者達は天才です。作文力に関しては、問題はないというのが私の意見です。
800字の小論文で、作文的な話題が使えるのは、前置きの具体例です。字数にして、最大限200字程度でしょうか。
具体例から、抽象化し、自分と考えの異なるいくらかの反論を論破しながら自説を述べ、結論へ持っていく力量は、なかなか育っていません。
活字離れ、ハードな哲学的な話題が苦手な、ビジュアル世代、ゲーム育ちの若者達の文章力には寒いものがあります。
小論文を書く力というのは、膨大な知識と、自由で豊かな発想、論理的な思考力・構成力、広い視野と問題意識に支えられています。
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伸びやかに作文が書けるからといって、その延長線上に、「小論文」が自然に書けるというわけにはいかない。 ……つまり、そういうことです。
では、何が足りないのか?
読書です。いや、ただ読めばいいというのではありません。単に楽しんだり、知識をため込んだりする読書では、小論文に対応する力は身に付きません。キーワードは、「考える読書」です。読みながら立ち止まり、立ち止まって考える。考えながらまた読み進める。読み終えたら、せっかく読んだ本は、読みっぱなしにするのではなく、気に入ったところを抜き書きしたり、読後に感じたことや考えたことなどを書き留めたりする。
書くことにより、読んだ内容が深く心に刻まれます。読みながら考えたことが、確かな痕跡として残ります。自分の血肉となります。更により深く読む読書へと誘います。
さまざまな見方考え方に触れることにより、自分の器をより深く広くしていきます。
さまざまな論理の展開に触れたり、しっかりした文章構造を体験したりすることにより、自分が書く文章構造の幅が広がります。書く文章そのものも、洗練されていきます。
しっかりしたものの見方、考え方のできる、深さと幅のある思慮深い若者。 ……それは、「考える読書」の積み重ねの中から育ちます。
今年も、県審査には優れた読書感想文がたくさん寄せられました。ここに収めた作品は、なかでも選りすぐられています。どうか、それぞれの教室において、読み聞かせや読書指導に活用していただきたいと願っております。
最後になりましたが、読書感想文審査会、読書感想画審査会、読書ノート審査会に関わって下さった多くの皆様に、深く敬意を表するとともに、厚く感謝申し上げます。
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スポーツの上達も一緒です。
お手本なしに
勝手に練習していると
変な癖を付ける練習にこそなれ
上達にはつながりません。
必ず上達は頭打ちです。
作文(論理的文章を書く)も同じです。
お手本は
日頃の読書です。
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平成13年度
第47号
子どもが本を読まない国に未来はない
「子どもが本を読まない国に未来はない」(「子どもと本の出会いの会」アピール文)……今、まさに「読書の意味」が再認識されています。
「読書は、伝統的な文化遺産を継承するとともに、子どもにとって豊かな感性や情操、そして思いやりの心をはぐくむ上で大切な営みです」という声明文とともに、平成12年は「子ども読書年」と定められ、さまざまな活動が展開しました。
一方、昨年12月には「子どもの読書推進に関する法律」が交付されました。この法律により、4月23日は「子ども読書の日」と定められ、各種のイベントが展開されることになりました。
現在33カ所の市町村で取り組まれている「ブックスタート」、7,500校を突破した「朝の読書」(島根県の実施率は、小学校約6割、中学校約4割)、県内各所で展開している「読み聞かせボランティア」、着実に増えつつある「司書教諭免許」を持って活躍中の先生、学校図書館図書整備費の増額(ただし、地方交付税措置)、……子ども達の読書をめぐっては、明るい光が見えてきました。
しかしながら、「教育は人にあり」です。
読書感想文、読書感想画、読書ノート、それぞれの審査会に立ち会って、つくづく思いました。立派な作品のその後ろには、必ず優れた指導者、熱心な指導者の影が見え隠れしています。条件整備も重要ですが、よき指導者(教員)を得るかどうか、これが読書指導においてもきわめて大きなポイントです。
この読書感想文『あをの』は、「よい読書感想文を書く指針」を得るとともに、「本はこういう風に読むと楽しいよ、ためになるよ」というヒントを得る機会にしていただければと願っております。
ぜひ各教室での読み聞かせに加えてやって下さい。
終わりになりましたが、読書感想文、読書感想画、読書ノートの指導、審査、表彰のお世話をいただいた多くの皆様に、厚く感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
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平成14年度
新しい学習指導要領に基づく学習指導をスタートしてから
子ども達に読書習慣を!
という動きが
国を挙げてのうねりとなってきました。
メディアの発達
子どものインドア生活を助長するグッズの氾濫
ますます
子ども達は読書から遠ざかります。
子どもと本とを結ぶ
その「架け橋」を
意識的に精力的に行わないといけない
そんな世の中になってきました。
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平成12年度
第46号
君たちはどう読んでいるか?
継続は力なり」と言います。本を読み、気づいたこと、感じたことなどを自由に書き留める。この積み重ねは、頭脳を鍛え、心を豊かにするんですね。
『君たちはどう読んでいるか』(著者:松尾弥太郎)の中に出てくる、(松江四中)山本博行君の話を紹介しましょう。
彼は、中学生になってから読書の記録をつけだした。3年が終わるまでに、約100冊の本が読まれ、読書ノート(大学ノート)も3冊になっていた。
この間、成績が飛躍的に伸びた。入学当時は中位だったが、卒業頃には8番になった。担任の先生は、「読書の記録をつけていくうち、考える力と習慣が付いてきて、ふだんの生活の中にも、自然と落ち着きが出てきた。それで学業成績もよくなったのだろう」と話しておられる。
山本君は、3年生の時には学級委員にも選ばれ、まわりの人からの信頼と信望も厚い。
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『君たちはどう読んでいるか』(著者:松尾弥太郎)の本(写真)
ご周知のように、読書は、日頃の言語生活を豊かにします。読書は、人の生き方や社会のあり方について興味関心をはぐくみ、問題意識を生みます。生活の幅を広げ、生活を豊かにします。自分との対話を促し、自己発見や自己変革につながります。
……さまざまなメディアが発達する中にあって、読書は知識と知恵を獲得し、心を豊かにする、人類不変の原点ではないでしょうか。
この読書感想文集『あをの』には、「本はこういう風に読んだら面白いよ」というヒントが、いっぱい隠されています。読書の喜びを体感できかねている児童生徒のみなさん、「あらすじよみ」をしているからではないでしょうか? ぜひこの『あをの』の作品を読んでみて下さい。先生方には、日頃の読み聞かせの中に、ぜひ『あをの』の作品を加えてやって下さい。
なお、今号では、「ひろば」のコーナーを設けました。入賞者と指導者の声を掲載しています。どうか、この読書感想文集が、これまで以上に県内各学校の各教室で広く活用されますよう、心から願ってやみません。
終わりになりましたが、読書感想文、読書感想画、読書ノートの指導、審査、表彰のお世話をいただいた多くの皆様に、厚く感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
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読みっぱなしではなく
読んだらじっくり考える
その一手段が
「書く」という行為です。
「読書ノート」は
そのお手伝いです。
山本君の実例は
人間性とともに
学業成績をも引き上げることを実証しています。
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