文部科学省は2月25日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「同じ地域にある学校で感染者が出た場合、感染者がいない他校も積極的に臨時休校を検討するよう要請」する事務連絡を、都道府県教育委員会などに出しました。
一方、萩生田光一文科相は同日の閣議後の記者会見で、「市町村単位で複数の感染者が出ている場合、思い切って市、町の学校ごと休むことも選択肢に入れてほしい」と述べました。
ところが2日後、安倍首相のひと言で、一気に事態は動きました。
2月27日「新型コロナウイルス感染症対策本部」において、安倍晋三総理が突如、「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで臨時休業を行う」よう要請したのです。
これを受け、文部科学省は「3月2日から春休みに入るまで全国一斉の臨時休校を要請する通知」を出しました。
休校の実施を決定した都道府県教育委員会は2月28日、(島根県を除く)46教委に上りました。
その一方で、翌日28日に予算委員会で、安倍首相は「臨時休業は、基本的な考え方として示した。各学校、地域で柔軟にご判断いただきたい」と発言。
文部科学省も、萩生田光一文科相が28日の記者会見で「地域や学校の実情を踏まえ、さまざまな工夫があっていい」として柔軟な対応を示唆しました。

これを受け、感染者が出ていない島根県教委は「学習の遅れや休校時の家庭の負担を最小限にするため」として、(県立高校について)当面の休校を見送りました。
島根県内19の市町村の教育委員会については、8つの市町村が当面、授業を続けるとする一方、要請どおり3月2日から休校とする自治体もあり、対応が分かれました。
授業を続ける=
▽松江市
▽出雲市
▽安来市
▽大田市
▽美郷町
▽西ノ島町
▽知夫村
▽海士町
休校とする=
▽浜田市
▽益田市
▽江津市
▽邑南町
▽川本町
▽津和野町
▽吉賀町
▽隠岐の島町
▽雲南市
▽奥出雲町
▽飯南町(1・2年生は出校)
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いち早く出校を決めたのは出雲市教育委員会。2月28日、午前中に会議を開き、すべての小中学校について当面は休校せずに通常通り授業を行うことを決め、出雲市内に50ある小中学校に通知しました。
槇野信幸教育長は「今の段階で休校にすることは、混乱の方が大きい。未就学児や小学生などがいて世話が必要になり困る家庭も多いだろうという判断で休校とすることは見送った。市内で感染者が出るようなことがあれば状況を見ながら対応を決めていきたい」とコメントを発表しています。
島根県教委の決定を受けて授業継続を決めた松江市教委は、「PTAや放課後児童クラブなどに意見を聞いたところ、受け入れ態勢が整わないなど否定的な意見が多かった」「松江市は共稼ぎ世帯が多い。小さい子の保護者は、預ける人や場所がないという問題が切実」と説明しています。