新型コロナウイルス感染症
臨時休校

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2020.3.1(日)


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島根県は授業継続も!


 文部科学省は2月25日、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、「同じ地域にある学校で感染者が出た場合、感染者がいない他校も積極的に臨時休校を検討するよう要請」する事務連絡を、都道府県教育委員会などに出しました。

 一方、萩生田光一文科相は同日の閣議後の記者会見で、
「市町村単位で複数の感染者が出ている場合、思い切って市、町の学校ごと休むことも選択肢に入れてほしい」と述べました。

 ところが2日後、安倍首相のひと言で、一気に事態は動きました。

 2月27日「新型コロナウイルス感染症対策本部」において、安倍晋三総理が突如、
「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週3月2日から春休みまで臨時休業を行う」よう要請したのです。

 これを受け、文部科学省は
「3月2日から春休みに入るまで全国一斉の臨時休校を要請する通知」を出しました。

 休校の実施を決定した都道府県教育委員会は2月28日、(島根県を除く)46教委に上りました。

 その一方で、翌日28日に予算委員会で、安倍首相は
「臨時休業は、基本的な考え方として示した。各学校、地域で柔軟にご判断いただきたい」と発言。

 文部科学省も、萩生田光一文科相が28日の記者会見で
「地域や学校の実情を踏まえ、さまざまな工夫があっていい」として柔軟な対応を示唆しました。

  

 これを受け、感染者が出ていない島根県教委は「学習の遅れや休校時の家庭の負担を最小限にするため」として、(県立高校について)当面の休校を見送りました。

 島根県内19の市町村の教育委員会については、8つの市町村が当面、授業を続けるとする一方、要請どおり3月2日から休校とする自治体もあり、対応が分かれました。


授業を続ける=
▽松江市
▽出雲市
▽安来市
▽大田市
▽美郷町
▽西ノ島町
▽知夫村
▽海士町


休校とする=
▽浜田市
▽益田市
▽江津市
▽邑南町
▽川本町
▽津和野町
▽吉賀町
▽隠岐の島町
▽雲南市
▽奥出雲町
▽飯南町
(1・2年生は出校)

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 いち早く出校を決めたのは出雲市教育委員会。2月28日、午前中に会議を開き、すべての小中学校について当面は休校せずに通常通り授業を行うことを決め、出雲市内に50ある小中学校に通知しました。

 槇野信幸教育長は「今の段階で休校にすることは、混乱の方が大きい。未就学児や小学生などがいて世話が必要になり困る家庭も多いだろうという判断で休校とすることは見送った。市内で感染者が出るようなことがあれば状況を見ながら対応を決めていきたい」とコメントを発表しています。

 島根県教委の決定を受けて授業継続を決めた松江市教委は、「PTAや放課後児童クラブなどに意見を聞いたところ、受け入れ態勢が整わないなど否定的な意見が多かった」「松江市は共稼ぎ世帯が多い。小さい子の保護者は、預ける人や場所がないという問題が切実」と説明しています。

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子どもは罹りにくい


  2月27日、中国版CDC(中国疾病予防管理センター)が中国における「2月11日までの新型コロナウイルス感染症の疫学データ」をまとめた論文を発表しました。このデータによれば、調査の対象となった4万4,762人の患者のうち、

 10歳未満は 416人で 0.9%
 10代は 549人で 1.2%
 最多の50代は 10,008人で 22.4%

 理由は定かでないですが、若年者が新型コロナウイルスに感染しづらい(重症者も出にくい)というデータが、当初から示されてきています。

 2月29日の会見で総理は「大規模イベント」と「感染の危険のある個人的な飲食等」の自粛要請を行いました。

 上記のデータから言えることは、学校の臨時休業措置よりも、大人が密集する「満員電車」「大規模なイベント」などへの措置が急務とも言えます。しかし、経済的な打撃が大きすぎて、なかなか踏み込めないのが実態と思われます。

 今回、世界的に大きく取り上げられている「新型コロナウイルス感染症」ですが、幸い毒性は強くありません。インフルエンザより少し強い程度と思われます。

 実際、例年、インフルエンザは約1,000万人が罹り、うち約1万人が亡くなっています。

 現在のところ対症療法しかない、今後どのように変質するか不明な「新型コロナウイルス感染症」ですが、個人的にはマスコミは不安をあおるのではなく、科学的なデータを示しながら、もう少し冷静に報道して欲しいと苦々しく思っています。

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新型コロナウイルス感染症
〜罹患の経緯と現状〜


 COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスは、初期症状は発熱が多く、その後に空咳が続き、やがて1週間後に息切れがするようになるケースが多い。鼻水やくしゃみの症状はめったに出ないのが特徴的だと、WHOは発表しています。

 しかし、重篤になる場合、感染から肺炎、重症急性呼吸器症候群、腎不全などを発症し、死にいたる場合もあるとのこと。

 一方、中国の研究者の間では、症状が出ていなくても人から人に伝染するケースもあると現状を伝えています。

 WHOの2月26日現在の情報によると、中国以外ですでに約40カ国で感染を確認。中国を含む世界全体の感染者数は8万人超、3,000人近くが死亡しています。

 昨年12月に湖北省武漢で最初に新型ウイルスが見つかって以来、中国では7万8,000人以上が感染2,700人以上が死亡した。感染が疑われるため観察中の人も何千人といるとされています。

 中国疾病管理予防センターが4万4,000人の感染症例を検討した結果、8割以上の症状は軽かったものの、高齢者と基礎疾患のある人にとってのリスクは高く、重体となったのは4.7%と発表しています。

 集団感染の中心となった湖北省の省都・武漢(人口1100万人)は1月23日から封鎖状態にあります。

 中国では感染抑制のため、旅客機の一部が運休になり、学校の休校、企業の休業などが実施されています。

  

 イギリス船籍のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では、1月25日に香港で降りた男性が新型コロナウイルスに感染していることが2月1日に判明。

 船は2月5日から横浜港で隔離状態に入りました。その後、乗客乗員約3,700人のうち、2月26日までに690人以上の感染が確認され、3人が死亡しました。

  

 中国以外で最も確認された感染者が多いのは韓国で2月下旬、人数が一気に増えました。最も感染者が集中しているのは南東部の都市、大邱(人口約250万人)。宗教団体と病院で、次々とまとまって感染したとみられています。

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蛇足
2月25日文科省通知(詳細)


 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、文部科学省は2月25日、次のような通知を出しています。

 ある自治体の学校で感染者が出た場合、感染者がいない周辺地域の学校も積極的に臨時休校を検討すること。

 感染者と濃厚接触したと認定された児童生徒は、接触日から2週間の出席停止とする。

 市町村単位で(学校での)複数の感染者が出た場合には一つの市、町の学校を休みにすることを選択肢に入れてほしい。

 学校の臨時休校は、通常は自治体や学校法人などの設置者が決めること。北海道や千葉市で児童や教師の感染が相次いで判明したことを受けて後日、国が対応方針の基準を示す。

 感染が確認された児童生徒に、熱やせきの症状があり学校生活を送っていた場合は、学校保健安全法の規定に基づき、速やかに臨時休校を求める。

 濃厚接触者と認定された児童生徒についても同法に基づいて出席停止にできる。期間の目安は、症状がない中国・武漢からの帰国者などに対して政府が外出自粛を求めた期間に合わせ「2週間」とする。

 通知は強制ではないが、感染者が出た小学校に近い高校や大学が一斉に休校になることも想定している。

 臨時休校で児童生徒の学習が遅れたり、保護者の負担が増えたりすることに対し、補習や家庭学習への配慮も求める。

 教職員が休んだ場合の教員の補充などについても文科省が相談に乗る方針だが、具体的な対応は決まっていない。

 文科省はこれまで、児童の感染が確認された北海道中富良野町や、中学校の教師が感染した千葉市などの場合、感染者が出た学校を学校閉鎖や学級閉鎖にすることが望ましいと各教委に伝えた。

 学校の卒業式や入学式については、「一律の自粛要請を行うものではない」が、実施方法の変更や延期を含めた対応の検討を求める。

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